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2018年08月01日

第196回国会で大型クルーズ船問題と世界自然遺産登録について参議院議員の川田龍平氏が質問してくださいました。

第196回国会にて、参議院議員の川田龍平氏が、今回の大型クルーズ船寄港地誘致と、IUCNによる世界自然遺産延期登録勧告において、「奄美大島に大型クルーズ船寄港地を作る予定はない」と日本政府が言っているという勧告内容と、世界自然遺産登録の関連性について質問してくださいました。

質問主意書と答弁はこちらです。htmlとPDFがございます。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/196/meisai/m196163.htm


第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一六三号

奄美大島における大型クルーズ船寄港地開発による社会環境への影響に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月五日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿


   奄美大島における大型クルーズ船寄港地開発による社会環境への影響に関する再質問主意書

一 政府は二〇一八年六月一日に「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界遺産登録に向けた推薦を取り下げることを閣議了解した。報道では、政府は二〇二〇年の登録に向けて動き出したとされているが、国際自然保護連合(以下「IUCN」という。)による評価書(以下「評価書」という。)における勧告を踏まえて、二〇二〇年の世界自然遺産への当該地域の登録を目指すのが政府の基本方針であると認識してよいか。

二 評価書では、奄美大島における大型クルーズ船の誘致に関して、「the State Party provided information on the current status of a proposal for a large cruise ship base on Amami-Oshima, confirming that no specific site has been selected and no development plans are intended in the foreseen future.」との記述があるが、この記述と政府の現在の認識とは一致しており、予測できる将来において、奄美大島にはいかなる大型クルーズ船の寄港地開発計画も企画されていないものと政府は承知している、と理解してよいか。

三 前回質問(第百九十六回国会質問第一三二号)に対する答弁書(内閣参質一九六第一三二号。以下「前回答弁書」という。)の「四及び七について」において、国土交通省港湾局の「島嶼部における大型クルーズ船の寄港地開発に関する調査」(以下「本調査」という。)に関し、「政府としては、寄港地調査の結果を踏まえ、寄港地開発の具体化に向けて、地元自治体と連携しつつ検討してまいりたい。」と答弁しているが、この答弁は、前記二で示した評価書における記述と明らかに矛盾しているのではないか。

四 前回答弁書の「四及び七について」において、「政府としては、寄港地調査の結果を踏まえ、寄港地開発の具体化に向けて、地元自治体と連携しつつ検討してまいりたい。」と答弁しておきながら、同じく「九及び十一から十四までについて」においては、「クルーズ船の寄港地の開発については、それぞれの地元自治体において判断されるべきものと考えている。」と詭弁を弄した答弁をしているが、前回質問の趣旨は、政府として奄美大島における大型クルーズ船の寄港地開発の具体化に向けた検討を断念すべきではないか、ということである。この趣旨を踏まえて、はぐらかさずに改めて答弁されたい。

五 前回答弁書の「二について」において、本調査のモデルケースとして奄美大島及び徳之島を選んだ理由の一つとして「外国人の受入れが可能な一定規模の人口を有する島」という条件を満たしていることが挙げられているが、奄美大島は、大型クルーズ船の受入れが可能な人口を有していると国土交通省は判断しているのか。

六 前回答弁書の「四及び七について」において、「寄港地調査においては、クルーズ船の利用客が奄美大島の自然環境に与える影響については特段の分析を行っていない。」と答弁しているが、当該分析を行う必要性はないと環境省は考えているのか。

七 西表島では、国立公園の核心エリアに多くの観光客が入り、自然環境に深刻な悪影響が出ている事例が既に発生していると承知しているが、西表島における自然環境の過剰利用、いわゆるオーバーユースの実体を、環境省はどのように把握しているか。

八 前回答弁書の「九及び十一から十四までについて」において、「国際自然保護連合において延期の勧告がなされた理由は、推薦区域の設定について、主に、推薦地の連続性の観点で、沖縄県の北部訓練場返還地が重要な位置付けにあるが、現段階では推薦地に含まれておらず、また、各島の中の推薦地は連続性に欠け、遺産の価値の証明に不必要な、分断された小規模な区域が複数含まれているという課題があるとされていることである」と答弁しているが、IUCNはこの他に「the State Party pursue the activation of the tourism development plan and visitor management plan for key tourism development zones and attraction areas, according to their interest to visitors and carrying capacities, including the installation of adequate visitor control mechanisms, tourism management facilities, interpretation systems, and monitoring arrangements.」という重要な内容を勧告しているにもかかわらず、これを意図的に無視して答弁した理由を明らかにされたい。

九 前記八で示した勧告は、大型クルーズ船の観光客を含めたすべての観光利用を管理することを強く求めているのではないか。政府としては、この勧告に対して、奄美大島において具体的にどのように対応していく計画なのか。

十 前回答弁書の「九及び十一から十四までについて」に関し、寄港地開発の候補地が世界自然遺産推薦区域から外れていても、大型クルーズ船の観光客の奄美大島での行動は、国内外の外来生物の非意図的導入など、世界自然遺産推薦区域に間接的ではあるが深刻な悪影響を及ぼす可能性があることを懸念すべきではないか。

十一 評価書は、鹿児島県が「奄美群島持続的観光マスタープラン」を作成していることを取り上げ、沖縄県ではそのようなものを作成していない事実に触れているが、これはIUCNが世界自然遺産の登録地における観光政策の指針として、鹿児島県作成のマスタープランを評価し、同様の持続可能な観光政策の作成を他県にも促していると解釈できる。この鹿児島県作成のマスタープランの基本理念は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を踏まえて我が国が策定した「SDGsアクションプラン二〇一八」の考え方と通底しており、国土交通省もまたその理念を共有する形で「持続可能な観光政策のあり方に関する調査研究」をまとめている。世界自然遺産の登録地における観光利用と自然遺産の保全を調和させる考え方として、この調査研究で示された持続可能な観光政策を積極的に採用していくべきではないか。

十二 前回答弁書の「十について」では、WWFジャパンが作成した南西諸島生物多様性優先保全地域地図(BPAマップ)について、政府が作成したものではないことからコメントは差し控えたい旨答弁した。しかし、BPAマップはWWFジャパンが環境省所管の財団法人であった当時に作成した科学的なデータであり、そのことを監督官庁たる同省は認識していたはずであるから、単に「政府が作成したものではない」としてコメントしないのは適当ではない。そこで改めて問うが、BPAマップにおいて、奄美大島の大型クルーズ船寄港地開発の候補地のうち既存港湾を除くほとんどの地点が、生物多様性優先保全地域または重要地域に含まれていることについて、環境省としての見解を明らかにされたい。

  右質問する。

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以下が内閣による答弁書です。


第196回国会(常会)

答弁書

答弁書第一六三号

内閣参質一九六第一六三号
  平成三十年七月十三日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出奄美大島における大型クルーズ船寄港地開発による社会環境への影響に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員川田龍平君提出奄美大島における大型クルーズ船寄港地開発による社会環境への影響に関する再質問に対する答弁書

一について

 我が国による「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界遺産一覧表への記載の推薦(以下「本件推薦」という。)については、国際自然保護連合による延期の勧告(以下「延期勧告」という。)を踏まえ、平成三十年六月一日に取り下げることを閣議了解した。政府としては、延期勧告の理由を踏まえて推薦書を修正し、可能な限り早期の登録を目指している。

二から四までについて

 本件推薦について国際自然保護連合が作成した評価書(以下「評価書」という。)における御指摘の記載は政府の認識と一致しており、奄美大島におけるクルーズ船の寄港地の開発に関する具体的な計画は承知しておらず、「矛盾している」との御指摘は当たらないと考えている。
 クルーズ船の寄港地の開発については、それぞれの地元自治体で判断されるべきものであり、地元自治体が寄港地の開発をする旨を判断した場合には、政府としては、当該寄港地の開発の具体化に向けて、当該地元自治体と連携しつつ検討を進めてまいりたい。

五について

 政府としては、奄美大島はクルーズ船の受入れが可能な人口を有していると考えている。

六について

 お尋ねの「当該分析」については、クルーズ船の寄港地の開発が具体化していない現段階においては、寄港地の開発により自然環境に対してどのような影響がどの程度生じるかについて想定することは困難であり、今後、寄港地の開発の具体化の状況に応じて実施が検討されるべきと考えている。

七について

 お尋ねについては、西表島の一部の河川においてカヌーの混雑が発生していると承知している。

八について

 評価書において、御指摘の記載がされたことは事実であるが、当該記載は、延期勧告の理由ではなく、推薦国に対して対応を要請しているものである。延期勧告の理由は、先の答弁書(平成三十年六月二十二日内閣参質一九六第一三二号。以下「前回答弁書」という。)九及び十一から十四までについてで述べたとおりである。

九について

 奄美大島において、観光利用が集中する可能性のある地域や時間に行われる自然観察のルールの構築や、当該ルールの観光客への普及啓発等を行う施設の整備の検討を進めていくこととしている。なお、同島におけるクルーズ船の寄港地の開発に関しては、現時点においては具体的な計画が存在していないため、御指摘の「大型クルーズ船の観光客」に係る対応についてお答えすることは困難である。

十について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、一般的に申し上げれば、外来生物の非意図的導入の観点で、クルーズ船により来訪する観光客がその他の手段で来訪する観光客と比較して、自然環境に対して悪影響を及ぼす可能性が特に高いとは考えていない。

十一について

 御指摘の「調査研究」は、個別具体の観光政策についてのものではなく、今後望まれる持続可能な観光政策の在り方の検討に資することを目的として行ったものである。

十二について

 お尋ねについては、前回答弁書十についてでお答えしたとおりである。なお、クルーズ船の寄港地の開発に当たっては様々な要素を考慮することが必要であると考えている。

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今回の質問主意書と答弁はこちらです。htmlとPDFがございます。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/196/meisai/m196163.htm

前回の質問主意書と政府による答弁はこちらです。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/196/meisai/m196132.htm


◆政府は世界自然遺産については
「延期勧告の理由を踏まえて推薦書を修正し、可能な限り早期の登録を目指している」、

IUCNの世界自然遺産延期勧告における大型クルーズ船寄港地についての言及については、
「本件推薦について国際自然保護連合が作成した評価書(以下「評価書」という。)における御指摘の記載は政府の認識と一致しており、奄美大島におけるクルーズ船の寄港地の開発に関する具体的な計画は承知しておらず」、

大型クルーズ船の寄港地開発については、
「クルーズ船の寄港地の開発については、それぞれの地元自治体で判断されるべきもの」

としています。◆

※第196回国会 質問主意書と答弁書より
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/196/meisai/m196163.htm


◆現状、町長は「大型クルーズ船寄港地誘致を白紙撤回はしない」と言っている状態です。引き続き、ご協力をよろしくお願い致します。◆
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奄美の自然を守る会
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