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2019年06月16日

第198国会、参議院決済委員会にて参議院議員川田龍平氏がこの大型クルーズ船寄港地誘致問題についての質問をいたしました。

2019年5月22日の第198国会、参議院決済委員会にて参議院議員川田龍平氏がこの大型クルーズ船寄港地誘致問題についての質問をいたしました。

以下、参議院会議録より該当部分の抜粋をいたします。

政府参考人は
国土交通省港湾局長 下司 弘之氏、環境省自然環境局長  正田 寛氏、観光庁観光地域振興部長 平岡 成哲氏です。

http://online.sangiin.go.jp/kaigirok/daily/select0116/main.html

○川田龍平君 

 次に、奄美大島におけるクルーズ船の受入れについて質問いたします。
 昨年六月十二日にも質問主意書に出しました。そしてまた、前回、再質問主意書も出しておりますが、この琉球諸島、島嶼生態系として世界的に貴重な地域であります。生態系の保全のための具体的な施策がまだ行き届いているとは言えないと思いますが、幾つかお伺いいたします。
 前回、再質問主意書の答弁書において、政府としては、奄美大島はクルーズ船の受入れが可能な人口を有していると考えていると答弁をされていますが、奄美大島が受入れが可能な人口を有しているとする具体的な論拠は何でしょうか。奄美大島は人口が五万人ほどの島ですが、大型クルーズ誘致を進めるほかの大都市の那覇市三十二万人、鹿児島市六十万人、下関市二十七万人などと比べると圧倒的に人口が少ないと考えられますが、それでも受入れが可能とする根拠はどこにあるのでしょうか。

 また、平成三十一年の二月一日に奄美大島を世界自然遺産としての登録を国が再推薦したことで、遺産の登録が地元の悲願となり、最優先の政策課題となっております。

 平成三十一年の二月二日には、瀬戸内町において、ロイヤル・カリビアン・クルーズ社が、RCL社が、ただ一社が寄港地建設のプレゼンテーションをしている状況で、RCL社のアジアにおける通常の配船規模を考慮したとき、RCL社の大型クルーズ船の誘致は受入れ可能であると考えているのでしょうか。

○政府参考人(下司弘之君) 

 お答え申し上げます。
 まず、奄美大島が大型のクルーズ船を誘致を、寄港をするに値する人口規模を有しておるのかという御質問でございますが、クルーズ船についてもいろんなタイプがございます。今主流を占めております中国を発着点といたしまして、超大型のクルーズ船で三泊四日程度で日本の大規模な都市に寄港して周辺の観光をして帰られるというパターンが大勢を占めておりますが、カリビアン社が今委員御指摘のございました地元の協議会においてプレゼンテーションをしてございますが、地元の優れた環境を生かして、一日、ワンデー滞在をするというようなコンセプトの寄港を目指したいという意向のようでございます。

 そういった観点からしますと、奄美大島は、寄港するに際して一番最優先されるべきは寄港に適した自然環境を有しておるかという観点になろうかと思います。そういった意味では、人口規模等については余り大きな重要な点ではないのではないか、寄港するに際してそれを支える地元の産業がしっかり、例えば地元産品があるかどうか、そういった点が重視されるのではないかというふうに考えてございます。

○川田龍平君 

 このクルーズ船の利用客が奄美大島の自然環境に与える影響についての分析について、クルーズ船の寄港地の開発が具体化していない現段階においては、寄港地の開発により自然環境に対してどのような影響がどの程度生じるかについて想定することは困難であり、今後、寄港地の開発の具体化の状況に応じて実施が検討されるべきと考えているとこの答弁書でもありますが、平成三十一年の二月二日の瀬戸内町におけるクルーズ船寄港地に関する検討協議会においてRCLただ一社が寄港地建設のプレゼンテーションをしていますが、RCL社のアジアにおける通常の配船規模である十七万トンクラスの大型クルーズ船が池堂地区へ寄港した場合における自然への影響を想定し評価することはできるのでしょうか。できないのではないでしょうか。

○政府参考人(下司弘之君) 

 お答え申し上げます。
 世界の大きなクルーズ会社においては、いろんなタイプの、ラグジュアリータイプであるとかエコノミータイプ、様々なクルーズ船を保有しておられます。ロイヤル・カリビアンにおいても、恐らく奄美大島に適した利用形態、寄港形態を想定して事業戦略を練っておられるというふうに考えてございます。

 ただいま御指摘ございましたが、自然環境への影響については、現時点において具体的な開発計画でありますとか寄港計画、こういったものがまだ提示されておる段階ではございませんので、私どもといたしましては具体的な環境に及ぼす影響について現時点でコメントできる状況ではございませんが、平成二十八年から二十九年にかけて周辺の環境の状況については把握をしてございます。

 同調査におきまして、この瀬戸内町の地区でございますが、まず船舶の安全な航行という観点から申し上げますと、大型船を受け入れる、可能な静穏な水域を有しておるといったこと、そういった点からは非常に適した水域であるというふうに理解をしております。また、自然環境につきましては、水域、陸域共に国立公園には指定されておりませんが、サンゴ礁が少し離れた、八百メーターぐらいに近接してサンゴ礁が、一部、被度五%から五〇%程度の被度のサンゴ礁が確認できております。

 それ以外、漁業の状況、こういったものについても調査を行いまして、現況は把握してございましたが、繰り返しになりますが、環境に及ぼす影響という意味では具体的な計画が出てまいりませんとなかなかどういった影響が予想されるといったことについてコメントはできない状況でございます。
 いずれにいたしましても、現時点ではこのように計画がないため影響を評価することは困難でございますが、クルーズ船の誘致に際しましてはこうした自然環境への影響への配慮、これが必要であるというふうに理解をしてございます。


○川田龍平君 

 国際自然保護連合、IUCNによるこの評価書というものについて、この答弁書でも、「the State Party pursue the activation of the tourism development plan and visitor management plan for key tourism development zones and attraction areas, according to their interest to visitors and carrying capacities, including the installation of adequate visitor control mechanisms, tourism management facilities, interpretation systems, and monitoring arrangements.」の記載がされたことは事実であるが、当該記載は、延期勧告の理由ではなく、推薦国に対して対応を要請しているものであると。延期勧告の理由は、国際自然保護連合において延期の勧告がなされた理由は、推薦区域の設定について、主に、推薦地の連続性の観点で、沖縄県の北部訓練場返還地が重要な位置付けにあるが、現段階では推薦地に含まれておらず、また、各島の中の推薦地は連続性に欠け、遺産の価値の証明に不必要な、分断された小規模な区域が複数含まれているという課題があるとされていることであると述べたとおりであると答弁をされています。

   〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕

 これを踏まえて、伺います。
 平成三十一年二月二日の、先ほども申しました瀬戸内町のクルーズ船寄港地に関する検討協議会においてプレゼンテーションをしていますが、このRCL社の寄港地建設のプレゼンテーションによりますと、これは自然遺産候補地において大型クルーズ船によるマスツーリズムを導入する計画ですが、日本政府として、国際自然保護連合に要請された内容に基づいて、大型クルーズ船の計画についてRCL社ないしは瀬戸内町に何らかの対応を取るべき事案には該当しないのでしょうか。

 特に、環境省がユネスコに再推薦した奄美・琉球世界自然遺産の推薦書の世界遺産地域への責任ある訪問という百八十八ページほかで集計されている主な観光利用地域とその規模にRCL社が進める瀬戸内町池堂、西古見集落地域は一切対象となっておりません。今回の遺産登録に向けた推薦の根拠資料やその必要情報としての欠陥があるのではないでしょうか。これ、いかがでしょうか。

○政府参考人(正田寛君) 

 お答えいたします。
 まず、今回の再推薦につきまして、IUCNの勧告の主な指摘といたしましては、委員御指摘のとおり、一つには、沖縄の北部訓練場返還地の候補地への追加と分断された小規模な推薦区域の解消、この二点でございました。あわせまして、これらのほかに、外来種対策の推進や観光管理の仕組みの構築等の課題についても指摘があったところでございます。

 今回の再推薦に当たりましては、これらの指摘に対しまして、地元の自治体含めて関係者の協力を得まして真摯に対応し、推薦内容を見直して本年二月に再推薦したところでございまして、まずは、世界遺産の登録につきましては、確実な登録に向けまして引き続き万全を期してまいりたいと考えております。

 また、観光利用等を図る場合におきましても、やはり遺産地域のオーバーユースが起こらないように、自然環境保全と両立した持続可能な観光利用に留意して進めることが必要であると考えているところでございます。

○川田龍平君

 大型クルーズ船の観光客を含めた全ての観光利用を管理することを強く求めているという質問に対しても、この奄美大島において、観光利用が集中する可能性のある地域や時間に行われる自然観察のルールの構築や、当該ルールの観光客への普及啓発等を行う施設の整備の検討を進めていくこととしていると。なお、同島におけるクルーズ船の寄港地の開発に関しては、現時点においては具体的な計画が存在していないため、御指摘の大型クルーズ船の観光客に対する対応についてお答えすることは困難であると答弁されています。

 先ほど質問した欠損した推薦書の情報により、IUCNによる再々指摘及び地元住民や環境団体による遺産登録への抗議、反対につながる運動が拡大すると考えられますが、どうお考えでしょうか。

○政府参考人(正田寛君)

 お答えいたします。
 環境省といたしましては、奄美大島を始めとする世界自然遺産候補地について、希少な野生生物の保護増殖や外来種対策を始めといたします自然環境の保護の取組と併せまして、関係機関等と連携しながら適正利用のルールを策定するなど、観光振興との両立を図ることが重要であると認識をしてございます。

 現在、鹿児島県が策定をしてございます奄美群島持続的観光マスタープランにおきましては、群島全域の観光につきまして、それぞれの地域の特性を生かして、少人数利用を前提とする地域と多人数利用を展開する地域とを明確にした上で、それぞれの地域の特性を生かした観光を適切に管理しながら進めることが重要とされたところでございます。
 いずれにいたしましても、自然環境保全と両立した持続可能な観光利用に留意して進めることが必要であると考えているところでございます。

○川田龍平君

 前回、再質問主意書で、この寄港地開発の候補地が世界自然遺産推薦区域から外れていても、大型クルーズ船の観光客の奄美大島での行動は、国内外の外来生物の非意図的導入など、世界自然遺産推薦区域に間接的ではあるが深刻な悪影響を及ぼす可能性があることを懸念するべきではないかと質問したのに対して、お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、一般的に申し上げれば、外来生物の非意図的導入の観点で、クルーズ船により来訪する観光客がその他の手段で来訪する観光客と比較して、自然環境に対して悪影響を及ぼす可能性が特に高いとは考えていないと答弁をしています。

 しかし、大型クルーズ船の来港に伴い、一時的に大量の人数が世界自然遺産の周辺管理地域に入り込むことを意味するんですが、このことが自然環境に与える影響は考慮の必要はないのでしょうか。また、同協議会においてRCL社が発言した寄港地周辺地域の土地買上げや遊歩道の整備、開発について、国としてどのような対策が必要だと考えているのでしょうか。

○政府参考人(下司弘之君)

 お答え申し上げます。
 私どもも地元の瀬戸内町が主催する協議会にオブザーバーとして参加してございますので、そこで行われておる議論の状況については把握しておるつもりでございますが、まだ具体的に、クルーズ会社の方から具体的な提案がなされておるとは私ども理解してございませんので、ただ、県道まで二百メーターぐらいの区間、既存の道路がないという状況は私ども把握してございますので、そこにつながる何らかの遊歩道的なもの、そういったものが必要になる可能性はあろうかというふうに認識をしてございます。

○川田龍平君 対策は取られていないということですが、国土交通省のまとめた持続可能な観光政策のあり方に関する調査研究で示された持続可能な観光政策を積極的に採用すべきではないかという質問に対し、御指摘の調査研究は、個別具体の観光政策についてのものではなく、今後望まれる持続可能な観光政策の在り方の検討に資することを目的として行ったものであると回答しています。

 世界自然遺産の地の観光の在り方として、奄美大島に対して持続可能な観光の考え方を積極的に採用していくという考えはないのでしょうか。

○政府参考人(平岡成哲君)

 お答えをいたします。
 観光分野における主導的な国際機関である国連の世界観光機関では、持続可能な観光について、訪問客、業界、環境及び訪問客を受け入れるコミュニティーのニーズに対応しつつ、現在及び将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮する観光との定義を持続可能な観光ということで置いているところでございます。

 一般論として申し上げますと、観光施策の推進に当たりましては、先ほど申し上げましたとおり、経済、社会、環境の三領域間の適切なバランスが取れていることが持続可能な観光の実現の観点から望ましいと考えております。

   〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕

○川田龍平君

 奄美群島の地域の観光政策としては、現在、鹿児島県が作成し、エコツアーに重点を置いた奄美群島持続的観光マスタープランが存在しますが、国交省港湾局はそれを無視するかのように、当マスタープランと本質において矛盾する大型クルーズ誘致によるマスツーリズムを奄美大島において推進しようとしています。

 日本政府は、世界自然遺産登録を目指す地域に対しては、明確な観光政策を打ち出し、環境重視の持続可能な観光を推進すべきではないでしょうか。少なくとも、大型クルーズ船誘致のような、持続可能な観光の動きに逆行してマスツーリズムを助長するような動きは控えるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(下司弘之君)

 お答え申し上げます。
 先ほど観光庁の答弁にもございましたが、私どもも、奄美大島における持続可能な観光を実現するという観点から、先ほど答弁ありましたように、現在及び将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮する観光、これを実現すべきであるというふうに認識をしてございます。

 また、先ほどより委員の方からも御指摘ございますが、瀬戸内町が設けました協議会、瀬戸内町におけるクルーズ船寄港に関する検討協議会でございますが、こちらの方も事務局である瀬戸内町の方から二つの基本コンセプトが提示をされてございます。御紹介申し上げますが、まず一つに、旅客を無秩序に行動させるのではなく、適正な観光管理を行うとともに自然環境保全の啓蒙などを行う、これが一つ。さらに、二点目としまして、地域経済波及効果があるよう地元産品の販売や地元企業によるサービス提供を行う、こういったコンセプトが提示されております。

 この二つを照らし合わせましても、持続可能な観光開発、表現は異なりますが、同じ方向を向いた議論が進められておると私どもは理解をしてございます。

○川田龍平君

 最後に、環境省として、この周辺海域は国立公園の普通地域に、また、海岸を含む一帯が生物多様性の観点から重要度の高い海域になっており、十分な保全管理措置と世界遺産登録上の問題が生じる可能性についてどう考えていますでしょうか。

○政府参考人(正田寛君)

 お答えいたします。
 先ほども御答弁申し上げましたが、まず自然環境保護と利用の両立というものが必要だと考えてございます。そういった点で、地元自治体を始めといたしまして、今、観光利用のルール作りも進められておるところでございますので、引き続き、関係者と協力いたしまして、その辺についての十分な配慮に取り組んでまいりたいと考えております。

○川田龍平君

 三月十四日に、衆議院で改正奄美振興法案において附帯決議が付されております。四、奄美群島、小笠原諸島は、自然環境面において極めて貴重な地域であることから、その振興開発に当たっては、自然環境の保護、保全に積極的に取り組むとともに、エコツーリズムなどの自然環境の保護、保全と両立する持続的な環境振興が図られるような配慮をという附帯決議もなされております。

 是非、そういった観点からこの観光について進めていただきますよう、よろしくお願いします。
 終わります。ありがとうございました。

※会議録全文はこちらをご覧ください。
http://online.sangiin.go.jp/kaigirok/daily/select0116/main.html

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奄美の自然を守る会

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